奄美大島に於ける「家人」の研究(他、大島郡状態書、封建治下に於ける奄美大島の農業、二編)

琉球弧・奄美研究の金字塔が甦る

原口虎雄氏をして「極めてすぐれた論文として、その史料的価値は高い」と言わしめた論文、待望の復刊。
 「家人(ヤンチュ)」とは、藩政時代に奄美諸島に発生した債務奴隷のこと。奄美諸島民は薩摩藩による厳しい黒糖政策に直面し、借財がかさんだ島民は、自らの体を豪農に売ってヤンチュに転落した。その数は、集落によっては人口の5割を占めた。本書は、昭和初期に古老の聞き書きをもとに実態を記した貴重な根本史料である。
 また、明治初期の島民を記した「大島郡状態書」、諸史料をもとに描いた「封建治下に於ける奄美大島の農業」も珠玉の論文である。

珠玉の論文「大島郡状態書」「封建治下に於ける奄美大島の農業」も併載

内容(目次より)

第一編 奄美大島に於ける「家人」の研究
1概説
2起源及推移
3内容
 家人の総人口に占むる割合
 家人の財物性――其売買について。
 家人の社会的地位
 主家家人間の相互呼称
 家人の住居、衣服、食物
 家人の労働及其「主取」
 家人の待遇
  家人の性生活
4人身売買禁止の顛末
5結論
第二編 大島郡状態書
1人民生活並糖業沿革
2農商間弊害評論
3従来官庁ヨリ糖業ヲ奨励セラルルノ概況
4将来ノ方針
5大島郡田畑宅地調査書
6前島司森氏農事雑談
7大海原島司ノ大島郡五ケ島糖業改良意見書
8農商務省技師坂野初次郎ノ大島糖業改良意見書
第三編 封建治下に於ける奄美大島の農業
1序説
2前篇(地位、気候、生物、沿革)
3本篇(藩制、職制、土地制度、税制、徭役、政幣改革)
4耕種(開墾、甘蔗、稲作、麦作、粟作、雑穀、高倉、蔬菜、蘇鉄、烟草及百合、芭蕉、甘蔗)
5畜産(家畜、養豚、養蚕)
6製造(紬織、畳表之茣蓙)
7補篇(戸口、島民階級、生活)
8附言
9附録(行政区別、産業、年中行事、参考書)

著者 金久 好
判型、他 A5判 上製 226ページ

著者紹介

金久 好(かねひさ よしみ)

1911年生まれ。1931年前後、東京大学経済学部2年の頃、病を患い故郷に戻った折に、地方(じかた)史料を採訪し、古老の聞き書きを重ねて本論文を執筆した。名瀬市史編纂委員長の原口虎雄氏に高く評価され、1963年「名瀬市史資料」として刊行された。鹿児島県史の史料にも用いられている。2010年逝去。

型番 978-4-86124-304-2

定価 (販売価格)

5,800円(税込6,380円)
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